今回は今までとちょっと違うお話をします。
ここで当時生きた人たちの写真を取り上げていく内に、ちょっと気づいたことがあるので、今日はその話をさせてくださいね(^^)
その、気になるキッカケを作ったのは、この写真。
慶応3年11月15日、近江屋で坂本龍馬と共に暗殺された中岡慎太郎です。
このカメラレンズをジッと見つめる写真を見てたら「誰かと似てる・・」と感じました。
それが、この写真です。
新撰組隊長・近藤勇☆
どちらも、子供が知らない人にカメラを向けられてコチンコチンに緊張してるような面持ちですよね(^^)
当時、「写真を撮ると魂が抜かれる」なんて迷信があったといいますから、きっと写真を撮ること自体が、それなりに緊張感が漂うものだったので、こんな表情になったのかもしれません。
それで他の人の写真と見比べてみると、表情の緊張度合いはそれぞれでも、やはり正面を向きカメラ目線の写真が多いことが分かりました。
たとえばこんな感じ。
虚ろな眼をしていますが、江戸幕府第15代征夷大将軍であり、最後の将軍・徳川慶喜です。
視線が微妙にこちらと合わないので、ずっと見つめてるとなんだか不安な気分になります。。
それと、ちょっと柔らかな感じの・・
腕を組んで「よ!お兄ちゃん!カッコよく撮ってよっ!」なんて雰囲気ですよね(^^)
そして、ちょっとだけ顔が斜めになってる・・
高杉晋作さんも、やっぱり一応カメラ目線ですよね。
あ!そうそう!!
斜めといえば、
龍馬の奥様・お龍さんの写真!
少し顎が上がってますけど、視線とか、角度がちょっとモナリザに似てません?!
正面から見据えるんじゃなくて、こうやってちょっと顔を斜めにすると、受け取る印象って随分柔らかくなりますよね!
たとえばアインシュタインの、有名なこの写真・・
ちょっと横向きだから「かわいいっ!」って思うけど、正面からこんなに思いっきり”アッカンベ〜!”ってされたら「バカにしてんの?!」ってなるかもですよね(^^)
ちょっと話は横に逸れましたが、
斜めから撮ったカメラ目線ではない写真といえば・・
新撰組副隊長・土方歳三さん。
う〜ん、カッコいいです!
それと・・
西郷隆盛と薩長同盟を結んだ長州藩士・桂小五郎さんも斜め向きでカメラ目線じゃないです。
二人とも”イケメン”なので、眼が合っちゃうとドキドキしそうだから、気を利かせて目を逸らしてくれてるのでしょうか?
また話が飛んじゃうけど、リンカーンの・・
この写真と・・
この写真。
正面を向き、こちらを見据えている方が、より”強い人”という印象を与える気がしませんか?
斜めを向いていると”思想”や”理想”を持っている人という印象が強くなるような気がします。
バンバン飛びますが、また話を戻して・・
最後にこの写真・・。
土方さんや桂さんのような”イケメン”じゃないけど、斜め顔の龍馬さんです☆
だけど・・、この写真は他の誰にもないハッキリとした特徴があります。
それは、この時代の海外の偉人と呼ばれている人たちの写真と比べてみても、やはり違っているんです。
それは・・・龍馬さんの”視線”です。
たとえば土方さんは少し下を向いて物憂げな目線ですよね。
桂さんは、龍馬さんに近いけど、なにか”取って付けたような”目線です。
リンカーンは「とりあえず『ここらへん』に視線くださ〜い。は〜い撮りますよ〜」”カシャッ”って感じの、カメラマンの指導に従ったような、まったく目力のない視線です。
同じようなアングルで写っている他の人たちも同様なのですが、写真を撮る時、顔が斜めになり、視線がカメラを外れると、この時代の人はなぜか”フニャ”っと力が抜けたような表情になっちゃうんです。
だから、龍馬さんの”ずーっと遠くの方を見つめてる”ような、とても力強い視線が、本当に印象に残るんです。
今では、こんな表情なんて、どんなモデルさんでも簡単に作ることができます。
だけど、写真を撮られることに慣れていなかったこの時代に、こんな視線を演技で作るのは相当難しいということが、当時の他の人たちの写真を通してみると、よく分かります。
だからきっと遠くを見つめる龍馬さんの、その視線の向こうには、当時誰も描くことができなかった未来の世界が、ちゃんと映し出されていたのかもしれないと思うと、今まで色んな機会を通して見た、このあまりにも見慣れた写真が一層輝いてみえるから不思議です。
嶺里 ボー『 龍馬はん』
慶応3年11月15日(1867年12月10日)、近江屋で坂本龍馬と中岡慎太郎が暗殺された当日、真っ先に斬り殺された元力士・藤吉。
その藤吉の眼を通して映し出された、天衣無縫で威風堂々とした坂本龍馬を中心に、新撰組副隊長・土方歳三の苦悩と抵抗、「龍馬を斬った男」と言われる佐々木只三郎、今井治郎の武士としての気概など、幕末の志士達の巡り合わせが織り成す、生命力溢れる物語……。→ 続きを読む