龍馬暗殺〜坂本龍馬はなぜ殺されなければいけなかったのか?

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慶応3(1867)年11月15日、坂本龍馬は河原町の蛸薬師で醤油商を営む近江屋新助宅母屋の二階で暗殺されました。
額を深く斬られ、ほとんど即死に近い形で殺害されていたそうです。

その場に居合わせ、龍馬と共に襲われた中岡慎太郎も数十カ所を斬られ二日後に亡くなります。
一時は好物の焼き飯を食べるくらい回復した為に、襲われた時のことを克明に話したので、それを元にして、後に暗殺者について様々な憶測が駆け巡ることになります。

 

まず最初に疑われたのは新撰組でした。

 

それは、刺客の一人が「こなくそ!」と伊予の方言を使ったらしいという谷干城の証言によって、新撰組の伊予出身者ではないかと思われたからです。

 

同時期に、海援隊士の陸奥陽之助らは『いろは丸遭難事件』を根に持っている紀州藩の仕業に違いないと考えます。
そして12月6日、海援隊・陸援隊士らが紀州藩御用人・三浦休太郎を襲撃する『天満屋事件』へと発展して行きます。

 

そして慶応4(1868)年の年明けから始まった旧幕府軍と新政府軍による戊辰戦争の流れの中で、同年4月、下総国流山で出頭し新政府軍に捕縛された新選組局長・近藤勇は、坂本龍馬暗殺の嫌疑をかけられますが、最後まで否認を続け、その疑いが晴れることはなく、土佐藩士・谷干城の強い主張によって斬首に処され、同年12月、新選組に所属していた大石鍬次郎は龍馬殺害の疑いで捕縛され拷問の末に、一度は自分が龍馬を殺害したと自白してしまいますが、後に前言を撤回し見廻組の仕業だと話します。

 

その翌年5月の箱館戦争における新政府軍の勝利によって戊辰戦争は終結し、その地で降伏し捕虜になった元見廻組の今井信郎は取り調べ中に、坂本龍馬を殺害したのは与頭・佐々木只三郎とその部下6人(今井信郎・渡辺吉太郎・高橋安次郎・桂隼之助・土肥伴蔵・桜井大三郎)だと供述します。

 

そしてこれ以降、龍馬暗殺は見廻組の犯行というのが現在でも定説になっています。

 

しかし、その今井信郎の証言には一貫性がなく、曖昧なところも多い点や、中岡慎太郎が生前に話した事件の内容と異なることも多く、その上に裁判により禁固刑に処されても、わずか一年足らずで赦免されているなどの不可解な温情(赦免には西郷隆盛が関わったとされる説もあります。)があったことなどによって、見廻組説・見廻組単独犯説に疑問を持つ人も少なくありません。

 

 

そこから薩摩藩共謀説、土佐藩士・後藤象二郎説、そして「実は中岡慎太郎が暗殺者!」などという俄かに信じがたい説まで生み出されていくのです。

 

「・・みんな色々語ってるけど、いったい龍馬を殺した真犯人は誰なの?」

 

時が経ち、当事者もいない中で、この答えがはっきりすることは、きっとこれからもないでしょう。

だけど、それよりもっと大切なのは「なぜ龍馬は殺されなければいけなかったのか?」なんだと思います。

 

龍馬を殺したいワケ・・
語られている、それぞれの犯行の動機を探ってみると・・

 

まず、新撰組と見廻組は、龍馬が幕府を脅かし、国政を混乱させる危険分子と思って殺したんじゃないか?と考えられています。

 

そして、それは龍馬と縁があった薩摩藩にとっても同じことでした。
武力で幕府を打ち倒して全権を掌握したい薩摩藩にとって、緩やかな権力の移行を考える龍馬は邪魔者だったのです。

 

紀州藩は龍馬が率いる海援隊から『いろは丸事件』で膨大な額の賠償金の支払いを余儀なくされ、徳川御三家のメンツを潰されて怒り心頭でした。

 

どの動機も、単純に言えば「目障りだから殺した」「思い通りにならないから殺した」「恥をかかされたから殺した」ということで、ただ自分たちの都合だけで殺したかったということになります。

 

狭く短く物事を括ろうとせず、無闇に戦わず、身分や立場にこだわらず、常に時代の先を見つめ、明るく大らかに生きようとした坂本龍馬。
それを殺したいと思う者たちは、その真逆の人間なんだとしたら、龍馬はこういう人たちに殺されて当然だったのかもしれません。

 

だけど・・・

 

坂本龍馬没後150年。

 

あれから一世紀と半分の時間が経っても、相変わらず世界は狭量で身勝手な思想や行動が行き来しています。

 

だけど・・

 

いつか、そんな時が終わりを告げて、龍馬が夢見たような自由で豊かな心で満たされた世界が訪れることを願ってやみません。

 

合掌。

 

嶺里ボーのKindle小説「龍馬はん」

嶺里 ボー『 龍馬はん』

 

慶応3年11月15日(1867年12月10日)、近江屋で坂本龍馬と中岡慎太郎が暗殺された当日、真っ先に斬り殺された元力士・藤吉。

その藤吉の眼を通して映し出された、天衣無縫で威風堂々とした坂本龍馬を中心に、新撰組副隊長・土方歳三の苦悩と抵抗、「龍馬を斬った男」と言われる佐々木只三郎、今井治郎の武士としての気概など、幕末の志士達の巡り合わせが織り成す、生命力溢れる物語……。→ 続きを読む

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